目次
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アメリカ人の困った性質
うえぇぇ?
リターンリクエスト(Return requested)が来ちゃった!
あなたはその返品リクエストを見て、思わずため息をもらす。
返品理由は「doesn’t fit」、サイズが合わない。リクエストの主はアメリカ人バイヤー。
あなたは不満でいっぱい。だって商品説明にしっかりサイズが書いてあるじゃないか、cmでもinchでも!このヤンキーは納得して買ったんじゃないのか!w
そういえば、しょっちゅうサイズを問い合わせしてくる女の子。彼女もアメリカ人バイヤーだったぞ?
あるいは、付属品はありませんと書いているにも関わらず「付属品は付いてるか?」と聞いてくるバイヤー。彼もアメリカ人…。
説明を読まないアメリカ人にはまー坊(@belligerent_exp)も呆れ気味!なぜアメリカ人は商品説明を読まず、セラーに迷惑をかけまくるのか?
今回はその謎に迫った。
謎を解くヒントはトンネル視野と言語構造。
もしあなたがワイと同じ疑問を抱いていたなら、この記事は参考になるかもしれない。
1ページ目は説明文を読まないアメリカ人への対策。2ページ目はなぜ彼らの思考がそうなるのかを明らかにするぜ!
返品自由の慣習が本当の原因なのか?
アメリカ人から返品が多い理由に「返品自由の慣習説」がある。もちろんワイも99.9%この説が原因だと思っていた。だからと言って「それじゃ仕方ない」と納得していたわけじゃない。常に悔しい思いだったぜ!
海外セラーにとって理不尽なアメリカの慣習
返品自由は越境セラーにとって以下2つの点で理不尽。
①荷物の往復に時間がかかるので、季節物だったら販売機会を奪われる
②高い海外送料の負担(下手したら往復分)をセラーは強いられる
対処も何も、①には打つ手がない。
②なら送料を別にするくらい。しかし、近頃はFee Shipping(送料無料)が当たり前の風潮になっており、送料別だと売れづらい現実にセラーは直面している。
ヨーロッパ系アメリカ人だけが特別
ところで、ワイには一点気になったことがある。
同じアメリカでも、アジア系アメリカ人のお客さんから返品要求を受けることはまれなのだ。東アジア人やヨーロッパ人の顧客もそう、返品要求をされない。
主にヨーロッパ系アメリカ人だけに見られる特徴で、それが不思議で仕方がなかった。なぜヨーロッパ系アメリカ人だけ?
返品自由の慣習が原因なら、アジア系アメリカ人からのリターンリクエストだって、同程度あるはずじゃん?
ちなみに、Return requestedを頻発するヨーロッパ系アメリカ人は、いずれも評価数100を超え。eBayでの購入に慣れた人たちだ。
不慣れだから誤って買った、とは思えない。
他にもっと理由がある
恐らく「返品自由の慣習」以外に理由があるはずだ。そう踏んだワイは真面目に研究することにした。
西洋人の特性2つ
きっかけは読書中だった認知心理学の本。
この本の中で、気になる2つの記述を見つけた。
①西洋人のトンネル視野
②西洋人と東洋人でまるっきり違う視点
いずれにもリチャード・ニスベットという心理学者の研究が関係している。
参考文献
「思考のトラップ」に記述がある①と②に関する研究をググり、もっと詳しそうな文献を購入。
の3冊。いずれも面白い本だ。
すぐトンネル視野に陥るヨーロッパ系アメリカ人
そもそもトンネル視野ってなんなの?
西洋人のトンネル視野の説明にちょうどいい、大学生のミニバスケ映像がある。
それでは問題です。
白いチームが成功したパス数を当ててください。14?それとも15?
空中パスだけでなく、リバウンドのパスも数に含まれるぜ!まずは数えてみて、正解を確認して欲しい。
さて。あなたは何かに気づいただろうか?
実はこれ、実験用映像。(1999年、ハーバード大学)
このミニバスケ映像をハーバード大の学生100人以上に見せたところ、異変に気づいた学生はわずか5割。
気づいた被験者と気づかなかった被験者でどんな差があったのか気になるところだが、以下の4つは被験者の差に影響しなかった。
(A)被験者の注意力
(B)被験者のIQ
(C)男女の性別
(D)異物の色
(A)注意力があってもなくても、(B)IQが高くても低くても、(C)男でも女でも、気づく奴は気づくし、気づかない奴は気づかないのだ。
特に(D)は面白い。異物を目立ちやすい赤に代えても被験者の3割が気づかなかったのだから。
3割の奴、なんでやwww
この現象はトンネル視野の「不注意盲」といって、何かに集中していると他に目がいかないために起こる。
一方で、異変に気づいた人はボールではなく、画面全体に注意を払っていたという。
トンネル視野は、西洋人が陥りやすい。
それは様々な研究から証明されている。
木を見る西洋人、森を見る東洋人
2008年、アルバータ大の実験。
被験者には下のようなイラストで描かれた中心キャラクターを複数枚みてもらい、中心キャラの感情を答えてもらうもの。
被験者はアメリカと日本の大学生男女およそ50人。
アメリカ人の学生たちは、周りのキャラの表情に影響を受けることなく、中心キャラの感情を読み取った。
つまり、目立つところだけに意識を集中していた。
日本人の学生たちはというと、周りのキャラの表情から影響を受ける。例えば、中心キャラが笑っていても、周りのキャラが怒っていれば「悲しんでいる」と答えてしまう具合に。
つまり、場の全体に気を配っていた。
この他、数々の実験や研究で明らかになったことは、ヨーロッパ系アメリカ・カナダ人の意識を向ける範囲が一番狭い。
反対に視野が一番広いのはワイら日本や中国などの東アジア人。
中間の視野・視点を持つのが、ヨーロッパ人とアジア系アメリカ人。
要するに、注意を向ける範囲が極端に狭いトンネル視野は、ヨーロッパ系アメリカ人が陥りやすい症状なのだ。
これで、ヨーロッパ系アメリカ人はなぜ商品説明を読めないのか、の説明が一応はつく。
画面の中で目立つ商品写真や金額ばかりに意識が集中してしまい、他の要素に気を配ることが苦手なのだ。彼らは。
それらの特徴(欠点?)を踏まえれば、考えられる対策は絞られる。
トンネル視野への対策
有効な対策①
彼らが写真しか見ないのなら、写真の中にサイズ感がわかるものを入れてしまおう。500円玉やライターを使うアレ。アメリカ人向けなので相手国で使われる物が理想的。
商品が服だったら、定規や巻尺。小物だったら25セント硬貨。スマホ自体も商品の横に置けばサイズ感を出せるだろう。
有効な対策②
一定数の返品依頼を前提に、割り切って送料別にしてしまう。
もちろん、売れやすさを考慮し、軽いものや仕入原価が安いものはFree Shippingで構わない。
重いもの、高額なもの、勘違い購入されそうな怪しいものに限って送料を別にしようぜ!
あまり効かない対策
商品説明文のサイズ部分だけを大きくしたり、目立つ色にすること。これらは日本人相手であれば有効な常套手段。
だが、ミニバスケの実験を思い出して。いくら不自然な動きをつけても、色が派手になっても、彼らの3〜5割はゴリラに気づかないんだからw
実際のところ返金まで至らずに済むケースが多数
以上が対策(笑)。対策と言っておきながら、あまり大したことできないのはワイも承知済み。心もとないなと思ったあなたに朗報だぜ!
リターンリクエストを食らっても、実際は返金まで至らない。
ワイの場合、返品リクエストの割合は年間で2%を超えない。毎年2,000着以上を出荷していても年間で40件に満たない。意外と少ないでしょ?
そして、実際に返品されて返金したケースは、年間でわずが10件程度だ。割合で言えばたったの0.5%だぜ!
コツはReturns Accepted
なぜかというと、相手がワイに返送するには高い送料がかかるから。
アメリカから日本宛てに送料は想像以上に高い。だから、いざ郵便局に持っていって送料を確認したら腰がひけてしまい、多くの場合で送らずじまいになるのだ。
そして、返送料をうま〜く相手持ちにするにはコツがいる。
Return policyを必ず以下の設定にしておくこと。
①Returns Accepted (返品を受け入れる)
②After receiving the item ~ within (返品できる期間)を30daysないし60days以上
③Return shipping will be paid by (返送料の負担は誰?)をBuyer
もっとも重要な点は、返品を受け入れるに設定しておくこと。これで相手は正直な返品理由でリクエストしてくるのだ (返送料バイヤー持ちの条件)。
もし、返品を受け入れないに設定してあったら、バイヤーはどうするだろう?何が何でも、理由をデッチあげてでもリターンリクエストを通そうとするはずだ。商品が壊れてたとか、説明と違うとか。そうなってしまうと、返送料もセラー持ちになってしまう。
「説明を読まれない」対策は以上だぜ!
次のページはアメリカ人の思考パターンの要因について。言語構造が考え方に関係しているようなのだ。